このたび、2026年7月4日(土)に開催される第24回日本Awake Surgery学会を主催させていただくにあたり、謹んでご挨拶申し上げます。今回のテーマは「脳を知り、守る~脳内ネットワーク時代の覚醒下手術~」といたしました。
本学会は脳神経外科領域を中心に発展を遂げてまいりましたが、私自身は長年、神経生理学・システム神経科学の視点から脳神経機能外科チームと協働し、覚醒下手術に参画してまいりました。脳内ネットワークの解明や電気刺激による機能評価など、科学的な視座から脳機能を読み解くことは、外科的治療の安全性と有効性を最大化する鍵であると確信しております。
脳は多様な情報を処理し、複雑なネットワークによって成り立つ極めて精緻な臓器です。覚醒下手術において温存すべき機能の理解には、従来の機能局在に加え、ネットワークとしての全体像を捉える視点が不可欠です。術中電気刺激によるマッピングやネットワーク評価は、「安全な切除」を担保する手段であると同時に、リアルタイムに「脳を知る」ための貴重なアプローチでもあります。 また、腫瘍やてんかん診療において、症状とネットワーク依存性の関係や、発作の脳内伝播機序を解明することは、治療戦略を飛躍的に向上させます。これらの知見は、手術の安全性向上にとどまらず、脳可塑性やネットワーク再構築といった脳科学の核心的課題にも光を当てるものです。
本会では特別講演として、皮質および白質に対する電気刺激機能マッピングの世界的権威である、パリ・シテ大学脳神経外科のEmmanuel Mandonnet教授をお招きします。Mandonnet教授にはシンポジウムのコメンテーターもお務めいただく予定です。加えて、国内外の第一線で活躍される先生方による講演や、実臨床に即した白熱した症例検討も企画しております。
古都・京都の地で、「脳を知り、守る」というテーマのもと、診療科や領域の垣根を超えて覚醒下手術の未来を語り合える場となれば望外の喜びです。開催時期の京都は、祇園祭の囃子が響き始め、街が独特の熱気に包まれる季節です。 学術的な研鑽と共に、京都の風情も味わっていただければ幸いです。多くの皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げます。
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